2010年末、横浜市のある閑静な住宅街で建設中のある現場を訪問。7~8名の大工職人たちが、クレーンを使いつつ屋根部を作業中でしたが、驚いたのは、大工たちの話し声がほとんど聞こえず、作業がスピーディーに淡々と進んでいたことでした。

「今日1日で、どれぐらい作業が進むか」と気に掛かっていた現場でした、驚いたことに夕方頃には屋根の木材はすべて屋根の上にしっかりと固定。大工たちの連係プレーの結果でした。各々がしっかりと自分の役割を分かっていて、すべての作業が滞りなく進んでいく様子は、棟梁のリーダーシップと職人一人ひとりの心構えを表わしています。

a001_02他社のような一般的な住宅建築では使われない、太いタイプの柱や梁を多く使った『長期優良住宅』としても登録することになっていた物件でしたが、こうした特別な仕様でこれだけ効率の良い作業風景を間近で見ることができる機会は、他の現場ではなかなかありません。

まだまだ棟梁が他の職人たちに対して大声を出して指示を出したり怒鳴ったりする現場もありますが、ここでの静かな作業風景は、目を瞑っていると「本当に家を建てているところなのか?」と錯覚を起こしてしまうほど、不思議な空間になっていました。クレーンの操縦士は自分の作業が終わった後に自ら周囲の片付けを始め、細かいところまで気を配っていました。

とても素晴らしい現場チームです。

若い人や新しい人に「つまらない仕事をやらせる」という風潮が見られることがありますが、ここには、「皆、自分のことはしっかりと自分で責任を持つ」という、当たり前のことをきちんとこなしている姿がありました。

クレーンを撤去する際にも、安全・確実な操作が見られ、長年にわたって培われた、安定した操縦技術を垣間見ることができました。狭小地の住宅や道路が狭い現場ではとても大切なことですね。

a001_03現場というのは雰囲気がそれぞれ異なります。トラブル発生も多く、臨機応変に対応しないとどんどん工期が延びてゆきます。だからこそ、作業が早いことが重要ですが、急げば急ぐほど大工職人たちもテンパってくるもの。

失敗や間違いが少なく、確実な作業が早くなされるということは、当たり前のようで案外難しい。ですが、この現場は安心でした。横浜市のこの現場は、後に宮崎県からもお客様が見学に来られるほど、印象的な物件となりました。