多くの方が、「収納はたっぷりあるほうがいい」と考え、業者も「十分の収納スペースがあります」ということを売り文句にしています。
しかし、海外と比較しても、最近の日本人のライフスタイルには「モノ重視」という傾向があり、実際には不要なもの、または余剰なものが所狭しと家の中を占めているということが少なくありません。
「断捨離(だんしゃり)」という言葉が一時的にブームになり、「収納の達人」と呼ばれる方々がテレビでも人気を呼んでいますが、そもそもは日本の商業主義のゆえに消費者は不要なものまで「必要」と思わされているわけです。
それで、家を建てようとするときには、現在持っているモノの量で仕様を考えないようにしましょう。本当に必要なモノを必要な分量だけ収納できるスペースを確保すれば良いのです。
家具は家と一体
必要なモノは、なるべく備え付けまた建て付けの家具にしまうと考えましょう。
必須ではないけど収納したいものには、CDや本など、嗜好品などがありますね。それらを収納する家具はどんなものが良いでしょうか。
部屋に置かれた家具は「家と一体」となると考えましょう。ですから、壁、天井、床、そして他の家具やカーテンなどとの意匠性・デザイン性をきちんと考えましょう。
納得の行かない家具は長く使いたいとは思えなくなります。また、中途半端なサイズの家具で結局収納しきれなかった、ということにならないように、大きさも十分検討しましょう。
家具の大きさがイメージできていない
ユーザーが直面する失敗例の多くは、平面図で見て十分の広さだと思って実際に住んで、家具を入れたら思った以上に狭かった、という例です。
平面図の段階では、家の中に何もない状態で頭の中でイメージします。時に「ベッド」「机」などの置き場所を破線などで表示することもありますが、でも人間が動く動線のスペースについては、そうした平面図を見ても具体的・感覚的なイメージはつかめません。
実際にその部屋と同じ広さのどなたかの部屋に行って、置く予定の家具の大きさをイメージして図ってみましょう。思った以上に動けるスペースが少ないことに気が付きます。
ですから搬入する家具は出来るだけ小さい方がいい。そして必要なモノは出来るだけ備え付けの収納や建て付け収納(押入れや納戸など)に入れましょう。
ここからあふれるということは、モノが多いということになります。
家具が小さいと収納できない、ということがあるならば、それらのモノが本当に必須のものなのか、と再検討しましょう。
できるだけ「モノ」を減らそう
そうは言っても、モノを減らすには勇気も必要です。どうしたら良いでしょうか。
モノは、いずれ朽ちるものです。大切なのは心に残るものと体の健康に資するもの。
楽しみの一つであるそのアイテムが無くなったら、それで怪我をするとか病気になるとか、そういう類のものでしょうか。あるいは、そのアイテムの代替品はないものでしょうか。
今楽しんでいるその楽しみ事は、何年続くでしょうか? その家が存在する限り行なうことでしょうか?
自分が齢を取って死が近づいたとき、自分を取り囲んでいるのはモノでしょうか、それとも家族や友人などのヒトでしょうか。
何が大切なのかというモラル的な、ハートで感じる部分でしっかり考えると、「モノ中心」という考え方から脱却することが出来ます。
あれも使える、これもまだ使える、というモノは、おそらくほとんど使いません。そして本当に使うときに無かったら買えばいいんです。そんなに高額なものではありません。
今後、新築で注文住宅で家づくりをしようとするなら、ぜひとも上記の内容をご検討くださいね。また、スペースの感覚的なイメージを習得したい場合、現場見学をしてみるのがオススメです。